購買 マネージャー

「購買」という、ホテルになくてはならないお仕事をご存じでしょうか。
購買の仕事の詳細や、そこにたどり着くまでのキャリア、
大切にしている考え方…盛りだくさんのインタビューをお届けします。
「購買」とはどのような仕事なのか教えてください
私は3人チームで食材の仕入れを担当しています。宴会やレストランの料理の材料から客室に置くお菓子まで「口に入るもの全て」を調達する仕事です。
いつも使うものの仕入れは、調理などの各部署からオーダーを受けて取引先に注文し、届いた商品を検品して注文者に納品する、という流れです。検品とは、商品のサイズ・数・賞味期限などに問題がないかチェックする業務のことで、毎朝八百屋さんや魚屋さんなどがトラックで配達に来るのに立ち会い、100~350件ほどの商品を確認しています。
新しいフェア料理の食材など、これまでに取り扱いがないものは、商品を探すところから担当します。食材名や必要量など現場の要望を聞いて、見積やサンプルを取り寄せ、シェフたちと協議しながらどこの取引先にお願いするかを決め、発注へと進みます。

購買の仕事のやりがいは、どんなところにありますか
食材の確保は簡単ではないぶん、いろいろなところに目を配りながら仕事を進めていくやりがいや達成感を得られる仕事です。
レストランなどで「本日はこちらの料理が売り切れです」と見かけることがあると思いますが、例えばウエディングの披露宴料理なら、当日の仕入れ状況によるメニュー変更は許されません。コロナの頃、ニュージーランド産のスキャンピ(エビの一種)が入らなかったときは、すぐに原料の確保に動き、他の取引先と交渉を行いました。世界中から食材を取り寄せているので、農作物の獲れ高に直結する異常気象、スエズ運河の問題などの物流状況、輸入競争を左右する周辺諸国との国力の差に至るまで、欠品が起こる要因となる世界中の事象を把握する必要があります。
第二、第三の選択肢を常に考えながら、期日までに決まった量の食材を調達できるよう手を尽くし、無事に納品が完了したときの充実感・満足感は大きなものです。
これまでのキャリアを教えてください
キャリア前半は、ウエディングに関わることが多かったです。スタートは宴会サービスで、お料理を出したり会場の準備をしたりしながら当日の動きや状況を知りました。次に宴会手配の仕事を経験し、打合せで決定したお料理の社内手配や、引出物やお花などのパートナー企業手配など、事前準備に関わる部分を学びました。
次第に後輩が増えてチームの働きやすさを考えたり、同じウエディングでもWEB集客の仕事に担当がシフトしたりする中で、マーケティングへと異動になりました。最初はウエディング広告を扱いましたが、ホテル全体の広報に携わるようになると、ぐっと視野も広がりました。マーケティングは今でもやりたいと思うくらい面白い仕事で、取材対応などで忙しいながらも、コラボ企画やビジュアル撮影などホテルの華やかな面に深く関われる日々でした。
ウエディング・マーケティングの両方の見識を買われて、チャペル新設プロジェクトのメンバーにも選ばれました。調査のためにハワイに出張したり、建設会社の提案からデザインを選んだり、なかなかできない貴重な経験を積むことができ、印象深い出来事です。
これまでのキャリアを教えてください(続き)
その後、産休・育休をとったのですが、子供が生まれると、できるだけシフトが安定していないと働き続けられません。そこで会社から提案されたのが調達・購買の仕事でした。全く経験のない職種だったので、まずは出庫係として倉庫にある納品物を分けるところから始めました。この頃の大きな仕事としては、ホテルロゴの変更によるアメニティ・備品の一斉更新があり、業者様と協議しながら新しいロゴの製品を作り、古いものをいつまで使ったら在庫がなくなるかを計算して切り替え計画を立てました。
二度目の出産を経て、今度はブランド推進事業部という部署で、ホテルのプライベートブランド商品(料理やお菓子のギフトなど)を扱う仕事をしました。パッケージデザインの検討や新商品開発のほか、販路拡大を目指してオンライン販売サイトの導入も手がけました。大手ショッピングサイト内での出店の仕方を学び、受付から発送までのWEB上の手続きを完了させ、どうしたら売れやすくなるのかのレッスンを受けるなど、自分が知らなかった分野をまた一つ開拓しました。
それから、家族との生活と仕事を両立させながら転職も経験しましたが、かつての上司から声がかかったこともあり、最終的にこのホテルへと戻ってくることになりました。このタイミングで、始めにお話をした購買の食材仕入れのチームに入り、今に至ります。

数々の異動は希望通りだったのですか
私の場合、元から決めていたというよりは、経験を重ねながらやりたいことが増えていったというほうが近いです。がむしゃらに取り組んでいたら自然とやりたいことがつながり、新しい世界が開けていったという感覚で、これまで取り組んだ仕事に面白くなかったものはありません。
思いもよらなかった仕事や初めての分野に挑戦して結果を残すのは、難題をクリアして自分がレベルアップするような気分です。今いる購買のセクションは、まさに「0から経験値を上げられる職場」だと感じていて、例えばお肉の部位など最初は全く知識がありませんでしたが、取引先のお肉のプロフェッショナルの皆様とコミュニケーションをとるうちに、どんどん詳しくなれました。
子育てと仕事の両立に、秘訣はありますか
まずは、限られた時間を有効に使うことです。子供の起床・朝食・送り迎え・夕食・お風呂・寝かしつけ…生活に育児を組み込むだけでも、出産前と比べればタイムマネジメントがシビアになるのですが、仕事もするとなればなおさらです。「この時間でやり切る」と、集中して効率的に取り組むようになりました。
そしてもう1つ、独りで背伸びをしないことです。仕事を進めるうえで「自分だけががんばって行うこと」「自分しか知らないこと」を作らないように心がけ、全ての仕事にチームで取り組み、誰かが急に欠勤になっても他の人でフォローできる協力体制を整えています。仕事は代われるけれど、ママ業は替えがきかないからです。
仕事をするうえで大切にしていることを教えてください
私が大事にしていることを4つお伝えします。
まず1つめ、お会いする人には、お客様、取引先の方、同僚スタッフ、全員に挨拶をすることです。挨拶からコミュニケーションが始まり、周りの皆と協力したスムーズな仕事へとつながります。
2つめ、時間は絶対に守ることです。最初の宴会サービスの仕事で、スタンバイ→本番→片付け→次のスタンバイ…と進めながら、1つの宴席を成功させお客様にご満足いただくために、どれだけ事前準備や時間管理が大切かを知りました。それ以降、全ての仕事を遅延なく進めること、決められた期限までに自分にできる限りの準備をすること、は徹底しています。
3つめ、常に疑問を持つことです。習ったことを遂行できるようになったら、さらに効率良くやったり質を高めたりできないか考えています。そのやり方が本当に良いのか、なぜそのやり方なのか…そして、少しでも良い方法を見つけたときは、やらないよりまずやってみよう、と行動に移すようにしています。
最後は、自分で自分の領域を決めないことです。その時与えられた環境でがんばっていたことで、気づけば視野が広がり、新しいスキルも身についていました。自身の限界を常に突破する気持ちでチャレンジを続けてきましたが、これからも「一生勉強」というスタンスを崩さずにいたいと思います。
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若手の皆様にメッセージをお願いします
ホテル業界を見ているということは、少なからず「相手の喜ぶことをしたい」「誰かの笑顔を見たい」という考えをお持ちなのではないでしょうか。「人」に興味のある方にとってホテルの仕事はとてもやりがいのあるものですし、難しいと思うことでも前向きに周りの人とやりとりをすることで乗り越えられるという側面を持つ仕事だと思っています。AI化が進む世の中にあっても、多くのお客様、多くのスタッフと関わりながら働けるのがホテルです。いろいろな方と接して他の人の良さを吸収し、仕事面はもちろん人としても飛躍的に成長できる体験をぜひ味わってみてほしいです。

