ホテルJALシティ関内 横浜 総支配人

30年以上にわたり、フロントや営業、宿泊部門など
幅広い現場を経験してきた佐藤 司さん。
現在はホテルJALシティ関内 横浜の総支配人として、チームを束ねています。
グランドニッコー東京 台場で培った視点や、
ホテル業界で働くやりがいについて、お話を伺いました。
PROFILE
プロフィール
ホテルJALシティ関内 横浜
総支配人 佐藤 司
1993年、前身ホテルに入社。宿泊予約・セールス業務を経て、
フロントやゲストアテンダントなど宿泊部門で現場経験を重ねる。
2016年よりグランドニッコー東京 台場にてフロント課長、
2018年に宿泊部長へ昇進。
2021年にホテルJALシティ札幌 中島公園の総支配人に就任。
その後2024年、ホテルJALシティ関内 横浜の総支配人に就任。豊富な現場経験とリーダーシップでホテル運営を担っている。

どうしてホテル業界を志望されたのですか
実家が接客業だったこともあり、小さい頃から自然と“接客する側”への意識はあったと思います。
学生時代のアルバイトも飲食店が多く、人と接するのが好きだなと感じていました。
就職活動では、「せっかく接客業をやるなら、一番スポットが当たる場所で働きたい」と思って、
ホテル業界しか見ていませんでしたね。
最初に入ったのは、開業したばかりの200室前後のホテルでした。
あえて規模の大きすぎないホテルを選んだのは、いろいろな部署の仕事を経験できると思ったからです。
実際に働いてみると、右も左もわからないことばかりでしたが、毎日が新鮮で。
「やっぱり接客って面白いな」と感じていたのを覚えています。
グランドニッコー東京 台場では、
どんな経験をされましたか
2016年、勤務先のホテルがグランドニッコー東京 台場としてリブランドされ、そのタイミングで課長に就任しました。まずはフロント課長として現場の運営に携わり、その後、宿泊部長を任されました。
課長の頃は現場に近い立場でしたが、部長になってからは、組織全体をどう動かしていくかを考える必要があり、まるで“小さなホテルの総支配人”のような感覚でした。
日々の運営管理はもちろん、VIP対応やスタッフマネジメント、部門の方針づくりまで、すべてが自分の判断に委ねられるようになり、責任の重さを実感しましたね。
また、在籍中にはグループのGM※研修にも参加させていただきました。
マネジメントのスキルはもちろん、経営視点やチームづくりにおける自分の強み・弱みも見えてきて、今の自分につながる大きな学びになったと感じています。
※GM=General Manager=ホテルの総支配人

総支配人になったとき、どんなことを感じましたか
総支配人に任命されたときは、嬉しかったですし、「ついにこの立場に挑戦できるんだ」という高揚感もありました。
でも、着任の時期が近づいてくると、「自分に務まるのか」というプレッシャーが一気に押し寄せてきて、不安の方が大きくなっていきました。
とはいえ、GM研修に参加した時点で、総支配人としていつでも任される可能性があることは理解していましたし、「ここでやるしかない」という覚悟が自然と芽生えていた気がします。
実際、総支配人といっても、自分一人でなんとかしようとするには限界があります。そのため、専門性のあるスタッフに頼り、周りと連携しながらホテルを動かしていくことがとても大事ですし、チームで挑戦しているという感覚は今の自分の支えになっています。
怖さもありましたが、今はこの立場だからこそ見える景色や、やりがいがあります。
一歩踏み出してみて、本当に良かったと思っています。
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ホテルの仕事の魅力は
どんなところにあると思いますか
ホテルは何といっても、“非日常”を提供する空間なんですよね。
普段の生活では味わえないような、特別なひとときを演出することが求められる。
そして、ちょっとした気配りや表情ひとつで、お客様の印象が大きく変わる。そこがすごく奥深いなと感じています。
また、この業界で働いていると自然と対人スキルや語学力も磨かれていきます。
目の前のお客様に丁寧に向き合っているうちに、自分自身も成長できるのです。
接客業が好きな人にとっては、本当にやりがいのある環境だと思います。
あとは、やはり“人との関係”ですね。
お客様だけではなく、スタッフとも同じように信頼関係を築いていく必要があり、私は一人ひとりとしっかり向き合うために、面談の時間を大切にしています。
相手の思いを受け止めて、どうしていくかを一緒に考える。
そうして何かを共に築き上げていく関わりができたとき、「ホテルで働くって、やっぱり面白いな」と改めて思いますね。

今、佐藤さんが目指していることを教えてください。
今はJALシティという宿泊特化型ホテルを運営していますが、次は、フルサービス型ホテルの現場にもう一度立ってみたいという思いがあります。
いきなり総支配人として、というよりは、その前段階の副総支配人や支配人代行といったポジションで、フルサービス型ホテルの運営やマネジメントの在り方を学び直したい。それが今、私自身の直近の目標です。
自分のキャリアを綿密に計画してきたわけではないのですが、振り返ると「やってみたら面白かった」「向き合った先に成長があった」
そんな経験の積み重ねが、ここまで導いてくれたように思います。
だからこそ、これで終わりではなく、まだまだ挑戦していきたい。ここがゴールではないという感覚が、今もずっと自分の中にあります。
若手の皆様にメッセージをお願いします
ホテル業界を目指す皆さんに、私からお伝えしたいことが3つあります。
1つ目は、「まずはやってみる」という気持ちです。
就職活動では自己分析や企業研究も大切ですが、やっぱり最後は「自分が何をやりたいか」だと思うんです。
合っているかどうかなんて、やってみないと分からない。
私も営業には苦手意識がありましたが、実際に配属されてやってみたら、一番面白く感じたのがセールスの仕事でした。
だから、迷っているならまずは飛び込んでみてほしい。もし違うと思ったら、やり直せばいい。
今は転職にも前向きな時代ですから、遠回りもすべて、きっと経験になります。
2つ目は、「見られている意識を持つ」こと。
上司は見ていないようで実はよく見ています。
そして「上司がいないときだけ気を抜く」ようなある種のずるさは、必ずどこかで表に出てしまいます。誰が見ていても、いなくても、ブレずに誠実に向き合う。
その姿勢が、ホテルで働く上で何より大切だと思っています。
最後に3つ目は、「挨拶と笑顔を忘れない」ことです。
私自身、これがホテルマンとしての原点だと感じています。
当たり前のようで、意外と続けるのが難しい。
どんな立場になっても、どんなに忙しくても、そこだけは忘れずに頑張ってほしいです。


